
生成AI研修を企画するときは、「受講後、どの業務で何ができるようになってほしいか」を最初に決めましょう。全員に同じ機能を紹介するだけでは、担当業務とのつながりが見えにくい場合があります。
この記事では、社内研修の企画担当者向けに、目的・対象者・演習・評価をつなげて考える手順を提案します。
実践につながる研修設計
- 目標を決める受講後にできる行動を設定
- 対象者を知る経験・業務・利用環境を確認
- 演習をつくる出力の確認・修正まで練習
- 実務で試す次の業務と振り返る日を決定
1. 研修後の行動を目標にする
「AIを理解する」という目標を、観察できる行動に置き換えます。たとえば、「社内向け文章の下書きを作り、元の情報と照らし合わせて修正できる」とすると、演習内容と確認項目を考えやすくなります。
使い方だけでなく、どの情報を入力してよいか、出力の何を確認するか、迷ったら誰に相談するかも扱います。利用するサービスと社内ルールに合わせて内容を確認してください。
2. 対象者の経験と業務を確認する
研修の前に、利用経験、担当業務、利用環境を確認します。初めて使う人と、既に業務で試している人では、必要な説明や演習の難度が異なります。
| 確認項目 | 研修設計にどう使うか |
|---|---|
| AI利用経験 | 基礎説明と演習の配分を考える |
| よく行う業務 | 演習の題材を選ぶ |
| 利用できる環境 | 当日の操作方法と事前準備を決める |
| 社内ルール | 使用する資料と注意点を整理する |
| 研修後の実践機会 | 学習後に取り組む課題を決める |
当日にアカウントを利用できないと、計画どおりに演習できません。実施前に参加者が使える環境と、使用する資料を確認します。
3. 演習は出力の確認まで含める
演習を「AIに指示して答えを出す」で終わらせず、出力を見直し、仕事で使える形に直すところまで行います。
説明用の演習例として、架空の打ち合わせメモから報告文を作る場合を考えます。
- 読み手、目的、必要な項目を整理する。
- その条件とメモを使って下書きを作る。
- 元のメモと照合し、抜けや追加された内容を確認する。
- 必要な修正を行い、指示を変えるべき点を考える。
- 自分の仕事に置き換える際の注意点を共有する。
機密情報を使わずに練習できるよう、演習資料は事前に準備します。例をそのまま本番業務へ適用するのではなく、自社の確認手順を組み合わせます。
4. 満足度と実践の結果を分けて確認する
研修が分かりやすかったかという感想と、業務で活用できたかという結果は別に記録します。受講直後は演習の到達状況を確認し、その後は実践の有無と困った点を振り返ります。
利用していない場合も、本人の意欲だけで判断せず、対象業務がない、利用環境が整っていない、確認方法が分からないといった条件を確認します。
5. 次に試す業務を一つ決める
研修の最後に、試す業務、使う情報、確認する人、振り返る日を決めます。実践後の疑問を相談できる窓口があると、次の改善を検討しやすくなります。
業務そのものがまだ整理できていない場合は、業務棚卸しの進め方を参考にしてください。AIを試した結果の確認は、AI導入の試行・評価の手順につなげて考えられます。
そのまま試せる架空の演習課題
以下は研修用に作成した架空のメモです。実際の顧客情報は含みません。
A社との打ち合わせ。資料の送付を依頼された。担当は田中。送付期限は未定。次回の日程も未定。見積もり金額は話していない。
指示例:「このメモだけを根拠に、社内共有用の報告を作成してください。決定事項、対応事項、未確定事項に分け、書かれていない金額や期日は補わず、未定と記載してください。」
演習後は、送付期限や金額を勝手に追加していないか、担当者が正しいか、未確定事項が区別できているかを確認します。正しく出力された場合も、どの記述を根拠に正しいと判断したかを説明してもらいます。誤りの発生を前提とした演習ではなく、出力を根拠に照らして確認する練習です。
研修設計の参考資料
IPAのデジタルスキル標準は、ビジネスパーソン全体に必要なリテラシーと、DXを推進する役割ごとのスキルを区別しています。生成AIに関する項目も追加されています。対象者の役割と学習目標を整理するときの参考にしてください。IPA「デジタルスキル標準に生成AIに関するスキルを追加」(2024年7月8日)。本記事の演習と評価手順はBloomAIが提案するもので、認定カリキュラムではありません。
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