
DXの最初の取り組みとして、現在の仕事の流れを一つ選び、誰が何を受け取り、どこへ渡しているかを書き出してみましょう。ツールを決める前に流れを確認すると、二重入力や確認待ちなど、改善したい箇所を具体的に話せます。
この記事は、社内の業務改善を始める担当者向けに、業務の棚卸しから優先順位を決める進め方を提案するものです。
業務改善を始める流れ
- 流れを描く入力・担当・出力を整理
- 滞りを見つける作業時間と待ち時間を分ける
- 順序を決める効果・負担・影響範囲を比較
- 試して見直す責任者と振り返る日を決定
1. 部門名ではなく仕事の流れで整理する
「経理業務」のような部門単位ではなく、「申請を受け取り、内容を確認し、承認を得て、記録する」といった一連の仕事を対象にします。
関わる人が複数いるなら、それぞれに話を聞きます。一人の担当者には問題がなくても、次の担当者が情報を探し直している場合があります。担当者間の受け渡しまで追うことが大切です。
2. 同じ項目で業務を棚卸しする
業務によって書き方を変えると、後で比較しにくくなります。まず次の項目を共通にして記録します。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 開始条件 | 何が起きると作業が始まるか |
| 入力 | どの情報を、どこから受け取るか |
| 担当 | 誰が作業し、誰が判断するか |
| 手順 | どの順番で処理するか |
| 出力 | 何を完成させ、誰に渡すか |
| 頻度・時間 | どの程度発生し、どれくらいかかるか |
| 例外 | 差戻し、担当不在、情報不足の際はどうするか |
分からない項目は推測で埋めず、確認先を記録します。数字が取れない段階では、担当者の概算と実測値を区別してください。
3. 作業時間と待ち時間を分ける
「完了まで三日かかる」としても、担当者が三日間作業しているとは限りません。情報不足による差戻しや、承認待ちが多くを占めていることも考えられます。
手を動かしている時間を短くしたいのか、仕事が止まっている時間を短くしたいのかで、改善方法は変わります。待ち時間が主な問題なら、入力項目や承認条件、担当者不在時の対応を先に見直すことも選択肢です。
4. 効果と始めやすさで優先順位を決める
改善候補を、期待する変化、取り組みの負担、影響する範囲の三つで比べます。最も大きな問題を、最初の対象にする必要はありません。
- 困っている人や、発生する頻度は明確か。
- 対象範囲を限定して試せるか。
- 業務の責任者と、実際に試す担当者が決まるか。
- 他の業務を止めずに、以前の手順へ戻せるか。
- 実施前後を同じ条件で比較できるか。
説明用の仮例として、申請情報の二重入力が問題なら、まず一つの申請種別で情報の入力元を統一し、作業回数と差戻し件数を比べる方法が考えられます。実施条件は自社の業務に合わせて調整します。
5. 運用する人と見直す日を決める
新しい手順を作ったら、更新責任者、問い合わせ先、例外時の対応を決めます。最初の見直し日も設定し、使われているか、別の作業負担が増えていないかを確認します。
一つの業務で手順を確かめてから、他の業務へ展開します。AIの活用を検討する場合も、対象業務を選び、試行・評価する手順に沿って、小さな範囲から確認できます。
業務改善を経営の目的につなげる
業務の棚卸しはDXに取り組む入口です。入力作業が減ることに加えて、「顧客への回答を早くする」「担当者が変わってもサービス品質を保つ」など、経営や顧客への価値と結び付けて目標を決めましょう。
IPAのDX推進指標は、経営者や関係者が自社の現状と課題への認識を共有し、次の行動につなげるための自己診断に活用できます。業務単位の棚卸しとあわせて、組織全体の方向性を確認するときはIPA「DX推進指標」を参照してください。本記事の優先順位図はBloomAIの整理方法であり、同指標の公式な採点表ではありません。
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